キリスト教で歴史なTVアニメ動画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画のキリスト教で歴史な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月29日の時点で一番のキリスト教で歴史なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

80.1 1 キリスト教で歴史なアニメランキング1位
ヴィンランド・サガ(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (433)
1704人が棚に入れました
千年期の終わり頃、あらゆる地に現れ暴虐の限りを尽くした最強の民族、ヴァイキング。最強と謳われた戦士の息子トルフィンは、幼くして戦場を生き場所とし、幻の大陸"ヴィンランド"を目指す――激動の時代で巻き起こる、本当の戦士の物語(サガ)。

声優・キャラクター
石上静香、上村祐翔、松田健一郎、内田直哉、小野賢章、大塚明夫、安元洋貴
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

人生の地図を描くこと

原作幸村誠、WIT STUDIO制作。

風は雄弁に語り、鳥と戯れ、
ロングシップは新天地を求め航海を続ける、
彼の地の名はヴィンランド。

10世紀を前後して、
西欧諸国を恐怖に陥れたヴァイキングですが、
スカンジナビア半島の単なる略奪者ではなく、
新天地や交易を求める商人であったと、
最新の文献では伝えているみたいだ。
永久凍土の大地では農耕に適さない、
家畜の生産性もきっと上がらない、
生きるための必然的選択であったのでしょう。

Aimer、miletの楽曲が静かに心に響く。
壮大な歴史活劇に思いを寄せますね。

17話視聴追記。
{netabare}善悪を超えた場所に戦士としての矜持がある。
まずもって描くべきはその執念であろう。{/netabare}
まとめて観ると物語の見通しが良くなり、
感じることも増えて来ました。

最終話視聴追記。
怒涛の後半戦、お見事。
歴史大河は単話ごとでは評価できない。
{netabare}主人公の復讐劇としては説得力がないが、
アシェラッドの復讐劇、クヌートの変貌が、
序盤の目玉とすれば評価は上がりますね。{/netabare}

命を賭すまで人を動かすものとは、
そして私にはそれがあるのだろうか。

投稿 : 2025/03/29
♥ : 70
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

2019年秋期マイベスト

原作未読 ※大作。まだ完結してないらしい


NHKでやる以上きっちり進行してくれそう。万策尽きるのを許されなさそう、と勝手に期待してます。
漫画原作。西暦1000年近辺のデーン人(北方ゲルマン人)をメインキャストとしてイングランド侵攻などを描いた歴史ファンタジー全24話。
北欧だからといって神話を絡めた異能バトルが展開されるということもなく、実在の人物や地名を登場させながら史実に寄せつつも創作に舵を切った物語です。

録り溜めていたのを観るにあたって最終話のサブタイが目に入ってきました。

{netabare}『END OF THE PROLOGUE』{/netabare}

心構えができたのでむしろ有り難かったです。

剣はあるが魔法は無い。神々が降臨することも妖精の力を借りることも萌え萌えきゅんもありません。


  歴史フィクション


『アンゴルモア 元寇合戦記』が近いかな。また『キングダム』『蒼天航路』『横山三国志』。男の子が好きそうな系譜です。あまり見かけない路線なのでせっかくなので堪能したい。
“サーガ”って中世アイスランドで成立した古ノルド語による散文作品群の総称らしいですね。こうした発見も面白い。

土地名、人物、年代やイベント。まっさらで臨むのも楽しい。
歴史にまつわる各人の知識との照らし合わせ作業も楽しい。この時代についてはせいぜい

【ふわっとイメージ】
・イングランド地方にヴァイキングが立てた王朝あったよな
・フランク王国ってまだあったっけ?
・ノルマンコンクエストってこの時期だったような

十字軍がイスラム世界からいろいろ持ってくるまで。大航海時代で富をヨーロッパに持ってくるまで。ヨーロッパ地域は地球儀見回しても後進地域。蛮族らが荒ぶってるイメージでした。アニメ作中で答え合わせしてもおおむねイメージ通りです。

【Wiki調べ】
・1016年デンマーク王クヌートによるデーン朝成立
・1066年ノルマンコンクエスト ※混み入るので各自調べて!
・フランク王国は9世紀には滅亡してたみたい


ん?クヌート?それは置いときます。
日本では紫式部が『源氏物語』、清少納言が『枕草子』を描きあげてる頃です。
世界史は縦と横で読み解くと面白いですが脱線が止まらなくなるためアニメに戻ります。



ほぼ馴染みのない時代とエリア。ふわっとした知識背景はあるもののほとんど知りません。

 まっさらで臨むのも楽しい

結果、めっちゃ楽しんでました。歴史ものが好きなら迷わず行けよ!
アニメ的にどうこうは他の方に譲りますが、一言で片付けると


 {netabare}濃ゆい{/netabare}


以上です。

後期OP「Dark Crow」イントロのバグパイプはとってつけた感ありだがMAN WITH A MISSIONはやはりかっこいい。
前期ED「Torches」Aimerさん好き。



2クール長丁場と思いきや、あくまでプロローグ。これで続編なければ詐欺ですよ。
最後に魅力と感じた点について触れておきます。


■死に方

濃い物語ではあるが深いのか浅いのか測りかねてることがひとつあります。

※ネタバレ閉じます

{netabare}トールズ(CV松田健一郎)とアシェラッド(CV内田直哉)の二人の男の死に様がよい。
「本当の戦士に剣などいらぬ」何故? 答えは私にもわかりませんが高潔な志は伝わってきます。
「母の地ウェールズ」執着なり生きる意味を故郷ウェールズに見出してます。
二人とも譲れないものがあって守りたいものがあります。

無駄死にはしません。譲れないものを守るための最善の策を導き出し即座に死ぬ覚悟を決めます。
トールズはアシェラッドに。
アシェラッドはクヌートに。
後続に託すに足る人物を見定め信頼します。トールズにとってアシェラッドは敵ですよ。数回のつばぜり合いと短い会話で相手の本質と意図を見極めてるから託せるのです。そして、アシェラッドが顔を見れば器が分かるとしたのは伏線です。クヌートの人相の変化をもって臣下として殉ずる覚悟をだいぶ前から持ってたのでしょう。

 常在戦場

ですね。二人とも守りたいものを守ることができました。{/netabare}


さてそうなると、釈然としないことがひとつ生じます。


■トルフィン(CV上村祐翔)

{netabare}“本当の戦士は剣を持たない”
この父トールズの教えを省みるシーンがただひとつもない。24話終わって未だ復讐の虜囚である。{/netabare}

{netabare}まだプロローグということで不問にしてますが、いつか向き合う日がやってくるんでしょうか?
最初の村でトールズは素手で短剣を握り血まみれになりながらトルフィンを諭そうとしましたが受け止めきれてなさそうでした。その短剣は父の形見として所持しつつも、父の教えが回想としても流れる場面はありませんでした。
命のやり取りをしたアシェラッドはトールズの意図を深い部分で理解してても不思議ではありませんし、トルフィンをあしらいながら、「お前、親父の気持ちわかってやれよ」の気持ちで接していそうな節もありましたが、明示するシーンはありませんでした。

『復讐からはなにも生まない。剣で生命を奪うのは戦士の務めに非ず。生かすんだ!』

みたいなありきたりでしょぼい結論にならないでほしいと思います。{/netabare}


1.{netabare}そもそも荷に隠れて航海についてきてしっかり足手纏いになった自覚ないだろう{/netabare}

2.{netabare}父をヘタレ戦士でないと確かめたくて戦場についてきたわけで前日夜の父の説教ガン無視じゃん{/netabare}

3.{netabare}青年期に至る長い期間で少しは考えなかったのかなぁ。彼を助けた母娘の悲劇とかに何も感じなかったのだろうか{/netabare}


今のところ致命的にオツムが不自由な男の子にしか思えないわけですが、それも自分が平和ボケして現代の感覚で彼を見てるか答えは出てません。
そしてしっかりサーガしてます。2期があるならきっと観ることでしょう。


占領した地での略奪・虐殺。そしてレ○プは常であったであろう時代の話。
直接描写は控えめなものの、エロとグロの後者の雰囲気は充分伝わってきました。前者はさすがにNHKじゃ無理だったのかもで皆無です。

下手に現代の価値観に寄せなくて成功した例ではないでしょうか。
おそらく原作がそうなんだと思います。
マイナーエリアのマイナー年代を題材にした良作です。



※オマケ

これくらいのキリスト教イジリは海外でもウケそうだが実際どうなんだ?



視聴時期:2019年7月~2019年12月   

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2020.02.08 初稿
2020.02.27 タイトル修正
2020.07.19 修正

投稿 : 2025/03/29
♥ : 58
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

生きる意味

アニメーション制作:WIT STUDIO、
監督:籔田修平、シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
脚本:猪原健太、キャラクターデザイン:阿比留隆彦、
音楽:やまだ豊、原作:幸村誠

高校生のときに夢中になって
想像力を膨らませたのが世界史だった。
200万年前に誕生したヒトの元祖ともいえる猿人。
やがて、直接の祖先であるホモサピエンスが誕生し、
文明が生まれると、長い戦いの歴史が始まる。

私がいちばん魅かれたのは、
ゲルマン民族の大移動だった。
世界史における一大起点ともいえる出来事は、
ヨーロッパ中を席巻し、海岸に辿り着いた一派は
ヴァイキングとなって海を渡り、
アイスランドやグリーンランドに居を構え、
やがてはアメリカ大陸にも足を踏み入れた。
それはコロンブスがアメリカ大陸を発見した時代より
500年も前のことだった。
私は壮大なロマンに思いを馳せ、
このリアルな物語に夢中になった。

『グリーンランド人のサガ』と
『赤毛のエイリークのサガ』の2編の物語。
その総称である『ヴィンランド・サガ』については、
あらましだけは知っていた。
それを『プラネテス』の作者・幸村誠が漫画化し、
連載していることは、頭の片隅にはあったが、
色々な事情からまだ手に取ったことがなく、
アニメ化されるのは嬉しかった。

10世紀に実在したとされる
ソルフィン・ソルザリンが主人公トルフィンのモデル。
{netabare}レイフ・エリクソン、のっぽのトルケル、
スヴェン王、クヌート王などの
実在の人物たちが登場する。
そこにアーサー王の子孫という
架空の人物であるアシェラッドなどを加え、
壮大な歴史ロマンを紡いでいく。{/netabare}

物語の核となるのは、トルフィンの父・
トールズが説いた「本当の戦士」という言葉だろう。
「戦士に剣はいらない」というのが、トールズの境地。
それなら、一体戦士とは、どういう者なのか。
トルフィンは、本当の強さや戦士について、
長い旅のなかで考え続けることになる。

掠奪を繰り返すヴァイキングと行動をともにすることで、
多くの人々を殺めるトルフィン。
{netabare}デンマーク・スヴェン王の息子である
クヌートと出会い、国を統べることを通して
大切なことを学んでいくのだろうか。{/netabare}
24話を費やしたが、物語が今後どのように綴られるのかが、
まだ朧げにしか見えてこない。

トールズやアシェラッドは何のために生きたのか。
自らの想いや願いを別の誰かに託すことこそが
人の生きる意味なのだろうか。
(2020年4月12日初投稿)

投稿 : 2025/03/29
♥ : 51

73.7 2 キリスト教で歴史なアニメランキング2位
チ。―地球の運動について―(TVアニメ動画)

2024年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (150)
637人が棚に入れました
第26回手塚治虫文化賞のマンガ大賞ほか、数々の賞を席巻。 若き天才作家魚豊(うおと)が世に放つ、地動説を証明することに自らの信念と命を懸けた者たちの物語 15世紀のヨーロッパ某国。飛び級で大学への進学を認められた神童・ラファウ。 彼は周囲の期待に応え、当時最も重要とされていた神学を専攻すると宣言。 が、以前から熱心に打ち込んでいる天文への情熱は捨てられずにいた。 ある日、彼はフベルトという謎めいた学者と出会う。 異端思想に基づく禁忌に触れたため拷問を受け、投獄されていたというフベルト。 彼が研究していたのは、宇宙に関する衝撃的な「ある仮説」だった――。
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

知の探究者たち

マッドハウス制作。

天文への情熱を捨てられずにいた神童ラファウ、
彼はフベルトという謎めいた学者に出会う。
彼が研究していたのは衝撃的なある仮説だった。

ラファウの信条は合理的に生きること、
合理的な選択をすればこの世は快適に過ごせる。

フベルトとの出会いが彼を変えていく。

こうして歴史に名を残さずとも、
情熱的に真理を追い求めた人たちがいる。
彼らはどんな苦難にも決して折れず、
世界を想像し知を探究したものたちである。

これは意志と継承の物語なのでしょう。

14話視聴追記。
世界はありのままで美しい。
{netabare}死刑宣告を受けたバデーニとオクジーは、
ある策に希望を託す、
それは後世に感動を伝えることである。
感動こそが学術的成果を復元させ、
地動説に新しい命を与える。{/netabare}

最終話視聴追記。
知性は揺らぎ迷うものである。
{netabare}知の探究者たちはそれぞれのやり方で、
真理と向き合い揺らいできた。
ついに物語は実在の歴史に繋がる。
コペルニクスは絵があっても良かった。
もう少し演出に余韻があればと思いますが、
人の叡智はこうして結ばれたのです。{/netabare}

とても興味深い物語で楽しめました。

知の探究者たちに、光あれ。

投稿 : 2025/03/29
♥ : 31
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

知の怪獣たる人間の性を深く洞察した逸品

15世紀前半・中世ヨーロッパの“C教”が信仰される“P王国”にて、
天動説を説く教義に背くとされた地動説を巡り、
宇宙の真理であると地動説を追求する者、
信仰を守ろうと地動説を弾圧しようとする者など、
様々な人生が交錯する同名連載コミック(未読)のNHK総合・連続TVアニメ化作品(全25話)

【物語 5.0点】
信念を持って真理や信仰を追求する人間の可能性と狂気を活写している。

第一印象は、またぞろカトリックを悪者にする、よくある中世エンタメ作。

私も大概キリスト教嫌いなので、本作もまた、
腐敗と迷信に溺れる暗黒時代の“C教”の迫害を覆さんと、
真理の探究者が奮闘する展開を期待しましたし。
特に序盤は、ノヴァクのエグ過ぎる拷問にも負けずに、
地動説を貫き通そうとする人々に共感する視点で観ていました。

ところが、話が進むに連れ、本作は、科学的思考が宗教を見下す一方的な話ではなく、
地動説の信奉者も、神の信奉者も、自らの信念を貫き通す人間として尊崇し、
また畏怖する視点の物語だと、徐々に軌道修正。

私は無意識に、地動説を信じる自分たち現代人の方が、
天動説を盲信していた中世ヨーロッパ人より優れていると決め付けていました。
実際、C教会にて、自ら信念も持たず、組織に命令されるがまま、
地動説の迫害に加担する信徒たちは愚かです。
が、それは、現代社会にて、組織の論理のままに、
時に不祥事まで犯してしまう現代人も同様なのではないでしょうか。

特に転機となったのが、第9話のピャスト伯。
{netabare}彼は天動説にて、惑星軌道が複雑化する解決不可能な難問を乗り越え、
自らの天動説の正しさを証明せんと一生涯を捧げる。{/netabare}
彼の信念と生き様を見ていて、
私は自らの信念のため、幸福と救済のために、世界を知ろうと真剣に探求しているだろうか?
そう考えると、中世人は皆、頑迷だと笑うことはできないのではないか。

因みに、地上から天動説視点で見ると軌道が惑う故に“惑星”と呼ぶという由来も、
私は恥ずかしながら本作をキッカケに初めて認識しました。


中世を舞台に現代人にも信念や真理への向き合い方を問うという視点に立てたことで、
本作を視聴する時間は、知的好奇心を持つ人間について哲学する有意義なひと時となりましたし。
ラスト3話の展開についても、解答が示されない故のまとまりの無さよりも衝撃の方が上回りました。

特に第二十二話「君らは歴史の登場人物じゃない」
{netabare}ノヴァクのような狂信的な拷問官が、後のガリレオの時代の如く、地動説を迫害するのは中世でも当たり前。
この歴史認識そのものがミスリードだと気付かせる転回劇には、私もやられた~と唸らされました。
信念を覆されたノヴァクだけでなく、私もまたキリスト教は邪教だとのバイアス(先入観)で、
世界を歪めて認識していたとハッとさせられる。{/netabare}

良くも悪くも人の主観が世界の認識を変えてしまう事例が、
視聴者側にも当てはまることを思い知らせる大仕掛け。お見事でした。


この流れで、謎を残した最終回について、すなわち、
{netabare}ポーランド王国にて、地動説研究のバトンを繋いだ“青年”ラファウこそが、現実の歴史に繋がる物語であり、
これまでのP王国の物語はパラレルでした?という突飛な設定。{/netabare}
これも私は、現代より劣った中世ヨーロッパを信じたい現代人の偏見は虚構同然だと、
一石を投じる価値ある構成だったと感じました。

最終話の{netabare}アルベルトと司祭{/netabare}の告解室のやり取りも私は好感。
経典の内容は絶対だと盲信して信仰を押し付ける宗教家は愚かですが、
人にとってどの真理探求や信仰のあり方が救済となり得るのか。
ある程度悟って、各々の告白者に合った道を選択、提示できる宗教家の説法は、
科学至上主義と拝金主義に覆われていく後の近代社会でも有効。
終わってみれば宗教も意地を見せた作品でもありました。

正しい真理を追求する人間が素晴らしいのではなく、
人間は真理探求のあまり怪物と化すこともあると自戒できる者こそが歴史を作る。
己の信じる真実をぶつけ合ってSNSで分断を深め合っている現代人にも耳が痛い。
同時代への示唆にも富んだ一作。歴史として語り継ぎたくなる逸品です。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・マッドハウス

ノヴァクさんの拷問タイムなど、死傷者多数のグロテスクな描写にも果敢に挑んだNHKアニメ。

が、私にとってよりトラウマになったのが、オグジーの宇宙観。
C教において現世の地上とは穢れて不完全な世界の底辺であり、
人々は信仰によって来世の天国で神に救われねばならない。

生来、こうした宗教観を刷り込まれたオグジーの中では、
天動説に基いた夜空の星々は、天から穢れた大地を見下ろす目玉のようなおぞましい姿で認識されており、
オグジーは卓越した視力を持ちがながら、星空を直視することもままならない。

この現世の美しさや幸福からも目を背けさせる信仰の歪さを体現した
大量の目玉が降ってくる星空イメージの背景美術。
私は爪剥がしより痛いと恐怖しました。


その他、本作には例えば{netabare}金が大事なドゥラカとヨレンタ{/netabare}など、信念をぶつけ合った議論の末、
人間が理屈をこねて練り上げた信念など軽く凌駕する景色があるという展開も多々あり。
世界にはまだまだ知らないことがある、神が不完全に作ったと説かれる現世も十分に美しい。
認識できるだけの背景美術は用意されていました。


【キャラ 4.5点】
地動説を継承していく複数の主人公視点。
このキャラ構成自体が、人の生涯を超えて残り続ける信念のしぶとさを表現する仕掛けとしても機能。

彼ら地動説信奉者たちを横断するように立ちはだかる異端審問の拷問官・ノヴァクというキャラ設定も、
信仰側の信念を体現する上で効果的かつ狂気でした。
ノヴァクさん、仕事では異端の口を裂きながら、家庭では娘を愛する子煩悩な父だったりする。
拷問を、帰宅を遅らせワークライフバランスを乱す残業くらいに軽く考えている。
私も仕事をする時、自らの職業は世の中に資する内容なのか、よくよく自戒したいと逆説的に痛感しました。

特に真理探求の意志や教養も持ってなかったオグジーみたいな存在まで、
地動説に巻き込まれて行く主人公群の一角に据えられるのも興味深いキャラ展開でした。
対照的に知識と野心を持った修道士・バデーニとのやり取り。
特に「文字を残すというのは重い行為だ。一定の資質と最低限の教養を要求される。
誰もが簡単に文字を扱えたら、ゴミのような情報で溢れかえってしまう。
そんな世の中、目も当てられん」
との一説、平生ゴミに溺れている私にとっても身につまされる説教でした。


その他、拝金主義を示唆する主人公視点・ドゥラカと、
極端な環境保護を示唆する異端解放戦線のシュミット隊長との議論など、
キャラたちも中世を越えて、現代社会にも通じる信念を持った曲者ぞろいでした。


【声優 4.5点】
淡々とネットリと拷問する異端審問官ノヴァク役の津田 健次郎さん。
真理に対してピュア過ぎる第一主人公・ラファウ役の坂本 真綾さん。
などキャリアを重ねてきた実力者が、連綿と続く地動説ストーリーを好表現。

その流れで、少女ヨレンタ役。この声は早見 沙織さんかな?と私は誤認していましたが、
仁見 紗綾さんという若手声優でした。失礼致しました。
元々ナレーション志望から、演技にも興味を持って、両方やれる声優業界に入って来たという仁見さん。
発声はキレイで、演技にもまだまだ伸び代がある。まだまだ端役が多い若手ですが、
オグジー役・小西 克幸さんいわく、スーパー新人らしいので、
今後、台頭して来たら、注目していきたいです。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は牛尾 憲輔氏。
どんな世界観・舞台も得意の電子和音で彩ってしまう。
氏の個性は諸刃でもありますが、
現代的なテーマも問う本作の作風には合っていたと感じました。

OP主題歌はサカナクション「怪獣」
随分、久しぶりに聞くな?と思っていましたが、これが実に3年ぶりのシングル。
放送中ずっとフルバージョンがリリースされずにヤキモキしましたが、
先日じっくり練り上げた末に、作品を咀嚼した好タイアップ曲を完成させてくれました。
“この世界は好都合に未完成 だから知りたいんだ”というサビのフレーズが特に苦くて好きです。

ED主題歌はヨルシカ。
前期「アポリア」、後期「へび」共に、淡々とした曲調の中に詩的な歌詞を込める。
が、正直に白状すると、濃厚な本編で消耗しきった私は、
EDまで咀嚼、解釈する気力は残っておらず、
毎回ピアノサウンドで癒やされる時間になっていましたw
今後フルサイズで公開されているPVでも見直して噛み締めていきたいです。

投稿 : 2025/03/29
♥ : 13
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

「勉強が嫌い!?」 →学問の自由が保障されている現在に感謝すべきでしょ!!

【レビューNo.175】(初回登録:2025/3/23)
コミック原作で2024年作品。全25話。
放送前にネットをチェックしていたら、「原作は面白い」と前評判が高かった
ので期待してた作品ですね。
放送途中に図書館に原作があるのを知ったので、以降は既読状態で視聴してま
した。


(ストーリー)
15世紀前半の中世ヨーロッパの「P王国」では、「C教」という宗教が中心と
なっていた。
地動説はその教義に反く考え方であり、研究するだけでも拷問や火あぶりと
いった迫害対象となっていた。
主人公の少年ラファウは将来を嘱望されていたが、地動説に出会ってしまい、
その美しさに魅入られ、命を賭けて研究を続けることになる。
しかしある日、彼の元に「異端審問官」のノヴァクが現れて・・・
そして時を越えて「地動説に触れ真理を探究する者たち」の物語が紡がれて
いく。


(評 価)
・「地動説への苛烈な迫害」というフィクションを描いた作品
 {netabare}「地動説への苛烈な迫害」といえば日本だと
 「それでも地球は回っている」
 でお馴染みの「ガリレオ裁判」の印象が強く、中世ヨーロッパ全土がそうい
 う時代であったようなイメージがありますが、実際は地動説を唱えたコペル
 ニクスは教会と良好な関係を築いていたりと必ずしも軋轢があった訳ではな
 かったようです。

 実際本作のモデルであるポーランドのアニオタたちからは
 「我が国にこのような迫害の歴史はない!!」
 というご立腹の声も挙がっていたようでw
 (ポーランドは宗教的に比較的寛容で、異端審問が活発だったのは西ヨーロ
  ッパ諸国だった模様)

 その辺りは原作者も十分承知していて、
 ・人間の持つ「知性と暴力」について描いてみたいという出発点
 ・この勘違いも面白く感じて、テーマにしたいと思った
 といった経緯から、意図して史実とは違うフィクションを描いたようです。

 本作はそんなフィクションの世界を「15世紀前半のヨーロッパの『P王国』」
 という架空の舞台で、時間の経過と共に主人公を替えながら「3章仕立て」
 で描きつつ、第4章(最終章)は(パラレルワールド的に)「15世紀後半の
 ポーランド王国」として、アルベルト・ブルゼフスキやコペルニクスといっ
 た実在した人物を登場させて締め括っています。

 物語としても
 ・「地動説への苛烈な迫害」=「信念のために命を懸ける」
 と緊張感が跳ね上がるので、この設定は効果的であったように思いますね。{/netabare}


・「勉強が嫌い!?」 →学問の自由が保障されている現在に感謝すべきでしょ!!
 {netabare}本作を視聴した率直な感想がコレですかね。
 作中では様々な形で学問に関する不自由・不平等さを描いています。
 ・地動説への苛烈な迫害
 ・「女だから」という理由で満足に研究をさせてもらえないヨレンタの話
 ・文字を知らないオクジーの話(この世界の平均的な庶民)
  そして文字を覚えようとするオクジーに対するバデーニの選民的思想
  → 一定の知的レベルでない者が文字を扱うと”ゴミ”のような情報で
    溢れかえってしまう(言い方~www)

 そのような世界に比べ、学問の自由が保障されている現在日本はなんと
 素晴らしいことか!!
 そのことに気付いた時、図らずも身が引き締まる思いでしたね。
 子供たちには「勉強しろ!」という説教よりも本作を視聴させて、
 「いかに自分が恵まれた環境に生まれてきたか」
 を気付かせ、感謝させた方が効果があるんじゃないかと(笑)

 また本作は「C教」という宗教が中心にある世界です。
 (某作品の受け売りですが)時代が混迷するほど宗教は力を発揮する。
 それは「救済」という絶対的な答えをくれるから――
 しかし、そんな教えに疑問を感じる者がいて・・・
 本作では最終章にて次の言葉で締め括っています。
 「いくら悩んで問うても神は口を開かない。
  だから永遠に私たちは考え続けられるのです。
  私はそれを幸福だと思いたい。」
 誰かに委ねるのではなく、自ら考え続けられる人間でありたいですね。{/netabare}


・アニメーションとしても優れていた
 {netabare}本作はテーマ性だけでなく、「魅せるアニメ」としても優秀でしたね。
 例えば象徴的なのが、ラファウが投獄されてるシーンなのですが、
 ・細い上窓から月明りが差し込んでいる描写があるのですが、その光を動
  かすことで時間の経過やラファウの心の機微を巧みに表しているという
 
 また「異端審問官」のノヴァクの不気味さの表現も巧みで
 「本当に恐ろしいのは同胞に対してここまで非情になれる人間」
 というのをトラウマレベルで植えつけられるような見事な演出でしたね。
 (彼の登場によりジェットコースターのような展開になるのはホント凄い!)

 原作だと”ここぞ”というシーンでセリフがあったところもセリフを使わず、
 アニメションで魅せるような上手い工夫もなされていたと思います。{/netabare}


「人間が持つ押さえきれない知的探求心」
など、人によっていろいろなテーマを見出だせる懐の深い作品だったかなっと。
視聴前は
「地動説の話をどうやって面白くするねん!?」
と少し懐疑的にみてましたが、さすが前評判が高い作品でしたね。
原作のよさを制作陣がしっかり料理していたと思います。


OP『怪獣/サカナクション』
・サビの部分で宇宙の広がりを感じるピッタリな楽曲でしたね。
 しかし遂にサカナクションもアニソンに参戦ですか・・・


(追 記)
本作の後半で
{netabare}・活版印刷で「地動説の書籍」を量産して世界をぶっ壊す{/netabare}
という計画が持ち上がりますが、さながら2024年の選挙戦を暗示してたかの
ようでしたね。
従来のオールドメディアで覆い隠されていた不都合な真実がSNSにより白日
の元に晒されるという、大きく流れが変わる節目の時代を迎えたのだと。
そういう意味でもタイムリーな作品でしたね。
(で、我が国はSNSを規制するような方向に動いているとか・・・
 ホント救いようのない国ですね)

投稿 : 2025/03/29
♥ : 11

62.6 3 キリスト教で歴史なアニメランキング3位
ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士(TVアニメ動画)

2018年秋アニメ
★★★☆☆ 3.0 (161)
721人が棚に入れました
王位継承権を巡りフランス王国とイングランド王国が苛烈な戦いを繰り広げている15世紀の世界が舞台の歴史ファンタジー。フランスがアザンクールの戦いでの大敗によってパリが陥落し、貴族の息子で魔術や錬金術の研究に没頭し充実した日々を送っていた少年・モンモランシの運命が一変してしまう。すべてを失いお尋ね者の流れ錬金術師となったモンモランシは、逃亡先の村で不思議な少女ジャンヌと出会う。

声優・キャラクター
逢坂良太、大野柚布子、東城日沙子、沼倉愛美、大西沙織、高田憂希、石上静香、桑原由気、間島淳司、高橋英則、糸博、日野聡、興津和幸、阿部敦、斧アツシ、平田広明、玄田哲章、富田美憂、子安武人、諏訪彩花、石塚運昇
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0

もしや、大好きな戦記物!? → なんだ、エロアニメか(呆) → え、ベルセルク? → あぁ、BASTARD!!か = 【迷走】

[文量→中盛り・内容→酷評系]

【総括】
中世ヨーロッパ、百年戦争を舞台にした人間ドラマ。そこに、賢者の石や錬金術、妖精族などファンタジーの要素が混ざりあい、独特な世界観を形成しています。。。

でもでもでも、そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ! ハイ、エロッパッピ~♪ (小島よしおさん、すいません汗)

てなことで、特に序盤はただのエロアニメでしたね、はい(苦笑)

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
ジャンヌ・ダルクを題材にしているということは、ある程度は史実を踏襲するわけで。でも、だからといって、「当然、知ってるでしょ?」と言わんばかりに、歴史的、地理的な背景の説明をアニメ内で省く理由にはならんと思います。

まあ、それは小さなことなんですけどね。

いや、なんかこう、「エリクシール無限生成機」やら「賢者の石」やら、ただ、エロいことをさせたいが為の装置に過ぎず、なんか悪趣味だな~と。

例えるならば、年端もいかぬ少女を海に突き落としておいて、素知らぬ顔して自ら救出し、「し、仕方がないんだ、ハアハア」とか言いなから、着衣をゆるめたり、人工呼吸しようとしている変質者を見ているような不快感が、、、。

しかも、なぜかそいつ(モンモランシ)がモテているという、謎の状況(汗)

あぁ、あと、そんなしょうもない作風なのに、所々にガンダムのパロディがあるのは、不愉快でした。原作者が好きなのか、アニメスタッフの悪ノリかは分かりませんが。(ガンダムは)個人的には大切な作品なので、「この程度の作品で」「こんな風に安っぽく」使われると、イラッとしますね。

ちなみに、私の場合☆1は、「つまらない」「クオリティが低い」というより、「不快」「苦手」というケースが多いです。本作もそんな感じですかね。

ちなみにちなみに、これらは序盤から中盤までの感想。終盤に神様だのが出てきたあとは、モウナニガナンダカワカリマセンガナって感じでぽかーんだったので、特に感想も書けません(苦笑)
{/netabare}

【余談~中世ヨーロッパの世界観は好きですが~】
{netabare}
私は「中世ヨーロッパ」の世界観が大好きなのですが、それは、剣とか鎧とか騎士道精神とか砦攻めとか、、、つまりは「ロードス島戦記」のように、【ファンタジーとして美化、昇華された中世ヨーロッパ】が好きなだけで、本物の中世ヨーロッパの歴史や文化、思想なんかが特段好きなわけではありません。

この作品にも散見されてましたが、かなり非人道的だったり、利己的だったり、悪趣味なものもありますよね(もちろん、素晴らしい文化や風習もあると思います)。

もっとも、私は歴史専攻じゃないので、そこまで詳しく知っているわけじゃないし、欧米の歴史や文化、価値観について、誤解も多々あるとは思いますが。それにまあ、日本も欧米もアフリカもアジアや南米諸国も、どこの国でも歴史を紐解けばそれなりに悪いことはしていて、全くの清廉潔白な国なんてないんじゃないかとも思うので、一方的に悪くは言えませんが。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆2
百年戦争、ジャンヌダルクか。ハーレム? 男1、女3、よりも、男2、女2とか女3の方がバランス良くないかい? 作風的に。アランソンの顔、ヤバすぎるだろ。「カレー」って街は、「水曜どうでしょう?」でも行ってたな(笑) モンモランシーって、主人公としては呼びにくい名前だな。

2話目 ☆2
歴史家の意見は色々あるんだろうけど、今の世界の責任というか、色々ダメだったのはイギリスだと思うんだよな。功罪はあるから、全否定はしないけど、「紳士の国」と言われると、?とは思う。観光的にも、ドイツとかの方が行ってみたいな。

いや~、ドン引き(汗) 賢者の石、ディープキスと初体験もどきをさせたいがための、装置かよ。その後のジャンヌダルクの闇落ちは悪くないけどね。

3話目 ☆1
エクシール無限生産機って、ただのディープキスしたいがための工夫かよ、クダラナイ。クダラナイエロ行為以外はまあ、悪くはないんだけどさ。いや、頭から落ちたら死ぬだろ。そこでラルの名言をパクられると、不愉快だな。

4話目 ☆2
なぜ、そんな風に情報を与える? エリクシルの蒸発情報、あったっけ? ??? 色々ワカランナ~。

5話目 ☆1
話、飛び飛びかな~?。どこのエロビデオかな(苦笑)? 手首だけで吊られるって、めちゃ痛いよな、多分。ただのバカでもイイヤツってか? この辺の西洋思想って、気持ち悪いよな~。闇落ちジャンヌの方が良かったな、2話みたいな。

6話目 ☆3
オウンビューの作画は良いが、全体的に雑。その横向きになる演出、流行ってるの? ん? 賢者の石の美女らよくわからん展開。自由落下中は加速できない。その通りだな。じゃあ、心臓ではなく、脳を狙えば? 切ろうかと思ったが、次の展開が楽しみになった。

7話目 ☆1
なんだつまらん。結局、聖剣&エロですか。しかもロリ。つか、兵2000の代償としては真っ当ではないか? てか、どっちが鬼畜かと言われれば、8対2でモンモランシでは?(笑) ジャンヌが死ぬか、死なないまでも賢者の石を失い、戦記ものとしての要素が強くなるのかなって思ったら、結局、力業。と、女性の犠牲。

8話目 ☆2
ミリオンアーサーかな(苦笑)? 聖剣いっぱい(汗) 驚いて木から落ちる、とか(苦笑) アスタルドが不死なら、そっちがしんがりを務めれば? 意識がないのに、唾(エリクシル)を飲み込めるのかな?

9話目


10話目 ☆2
1話とばしたら、いきなり超展開で、ウケる(笑) ベルセルクかな(笑)? いや、BASTARD!!かな(笑)?

11話目 ☆1
兜をかぶって、、、巨乳&巨尻化は、必要か? こんなシリアス展開で「童貞のまま死にたくない」は、必要か? 「私は、皆がいるこの世界が好き!」って、もう2万回くらい聞いたな(苦笑)

12話目 ☆2
力業で倒したな~。最後、明るい感じで終わるのは嫌いじゃない。
{/netabare}

投稿 : 2025/03/29
♥ : 21

褐色の猪 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

百年戦争の時代をテーマにした歴史ファンタジー

と見せ掛けたおっぱいギャグアニメ(違)

初め気になったのは作描画でして、
なんというか、奥行きが有る構図の反対というか、
中位置から前方に迫ってくる様な迫力有るカット、
絵コンテ?場面構成?原画?
まあ何れかに手練れがいたんでしょう、
それが全編通して結構頻繁し凄く好印象でした。

原作はライトノベルで未完の様、
ストーリーは終盤わちゃわちゃした展開でしたが、
史実などに余り拘らなければまずまずの締め、

OP.EDも悪くないですよね、

面白かったです(^ω^)



2018/11/02 ----------
何故なのか

今期は前期から継続の鬼太郎を除くと、
毎週楽しみにしてるのが3作品で、既に流し観になってるのが3作品、
ともう1本、
この「ユリシーズ」がそれで
何というか
「おっこれは」と「何しとんねん」が混在しすぎてて、、

「いやいやそれはないやろー」
と言いながら毎週観てる自分がいる(*´ω`*)

投稿 : 2025/03/29
♥ : 15

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

【2019年1月1日追記】フランスを救うのは聖女か…それとも悪魔か

この作品の原作は未読ですが、視聴を楽しみにしていた作品です。
キャラデザが私好みだったから…そしてやっぱり起用されている声優さんのチェックは外せませんよね。
本作のメインヒロインであるジャンヌ・ダルク役に大野柚布子さん
ブルターニュ公国の姫騎士であるリッシュモン役に沼倉愛美さん
フランス王国の姫太子であるシャルロット役に大西沙織さん
ブルゴーニュ公国の公女であるフィリップ役に高田憂希さん
ガスコーニュ出身の女傭兵隊長であるラ・イル役に石上静香さん
モンモランシを『お兄様』と慕うカトリーヌ役にとみたん

どうです…この布陣?
って、私が鼻高々になる事はないんですけどね^^;

この中でも特に私の目を引いたのは大野さんでしょうか…
「天使の3P!」の五島潤役から見てきましたが、大野さんといえば「このはな綺譚」の柚が真っ先に頭に浮かんできます。
物語が面白かったせいでしょうか…いつも前向きで一生懸命な柚というキャラのせいでしょうか…
何度も目頭の熱くなった作品なので良く覚えています。
だからメインヒロイン役に抜擢されたと知った時は素直に嬉しかったですね。

この物語の主人公は、貴族の息子でありながら魔術や錬金術の研究に没頭する少年モンモランシ…
彼はパリの王立騎士養成学校で、先に紹介したリッシュモン、シャルロット、フィリップらと共に、充実した日々を送っていました。
「ずっと友達だ…」と約束を交わした4人でしたが、100年戦争の始まりによって4人は散り散りに引き裂かれてしまうのです。
イングランド軍の捕虜に墜ちた友人を助ける方法はただ一つ、錬金術究極の秘宝である「賢者の石」を身体に宿し、不死身の超人「ユリス」と化すことだけ…
そう考えたモンモランシは、賢者の石の力を発揮するのに必要なエリクシルの生成方法の研究に着手するのですが、研究は遅々として進まず、気が付けば7年もの歳月が過ぎていたんです。

7年もの歳月をモンモランシがどの様に費やしてきたかは分かりません。
ですが確かなことが一つだけ…自分はあの日の約束に対して何一つできていないということ…
モンモランシはエリクシルの生成に最適な場所と言われているドンレミに赴き、そこで牛飼いの少女ジャンヌと出会うことになります。
そしてモンモランシは、エリクシルの生成に成功するのですが、事故や敵の傭兵部隊の攻撃によりジャンヌが瀕死となるなどのトラブルから全てを守るには、ジャンヌに賢者の石とエリクシルを与えるしか方法がありませんでした。
こうしてモンモランシはジャンヌを「ユリス」として覚醒させることで難を逃れたのです。

しかし不死のユリスになるということは、同時に異端者として追われる身になるのと同義でした。
こうしてモンモランシとジャンヌは共に生きる事を決め…あの日の約束を取り戻す物語が動いていきます。

モンモランシが研究に明け暮れた7年間…きっと幼い日に交わした約束を忘れる事は無かったと思います。
そしてそれはあの日約束を交わしたみんなも同じだったんです。
それに…みんなの思いだって何一つ変わってはいなかった…
でも7年という歳月によって3人の皇女の立ち位置はがんじがらめにされていたのです。

どれだけ苦しかったか…
どれだけ悔しかったか…
どれだけ悲しかったか…
きっとあの約束だけが彼女たちの唯一の心の拠り所だったんでしょう。
モンモランシとの約束が無かったら、きっと今の3人は無かったように思います。
それが7年もの間音信不通で、フラッと現れたと思ったら隣に女の子を連れているのですから…
きっと尋常な心持ちではいられないと思います。
事実、モンモランシがみんなの前に戻ってからも色々ありましたから…

それでも所期の目的を忘れるみんなではありません。
そう考えると一番不運だったのは間違いなくフィリップだったでしょう。
自身の行動と心がずっとバラバラでしたから…
それでも最後には何が自分にとって一番大切なのか理解したみたいで良かったと思います。

モンモランシら4人は幼い日に交わした約束を実行することができるのでしょうか。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
全てを映像で確認することはできませんが、きっと時間が解決してくれることでしょう。
そうあって欲しいと願っています。

オープニングテーマは、渕上舞さんの「リベラシオン」
エンディングテーマは、rionosさんの「百年のメラム」
渕上舞さんの楽曲は最近赤丸急上昇中なのですが、今回の楽曲も当たりだったと思います。

1クール全12話の物語でした。
しっかり堪能させて頂きましたが、気になる点が一つだけ…
それは大野柚布子さんの体調です。
11月に健康上の理由により治療に専念するため暫く休業するとTwitterに告知がありました。
大丈夫なんでしょうか…?
大丈夫じゃないから休業してまで治療するんだと思いますけれど、生命に影響するような病気なのでしょうか。
個人的にずっと応援してきたので少しショックなんですよね…^^;
最近、声優さんが体調を崩すケースが増えているような気がします。
声優さんの勤務って適正に管理されているんでしょうか。
管理がずさんだといずれ足元を掬われるような事態に発展するかもしれませんよ。
大野さん、待ってますからまた元気な姿を見せて下さいね♪


2019年1月1日追記

この作品に登場する人物って、実在した人物なんですよね。

ブルターニュ公国の姫騎士であるリッシュモンは「正義王」との異名を持ち、百年戦争後半にフランス王軍司令官として活躍しました。カリスマとなったジャンヌ・ダルクの支持者の1人であり、決定的な戦闘における勝利と王軍の改革に貢献し、百年戦争をフランスの勝利に導いたそうです。

フランス王国の姫太子であるシャルロットは「勝利王」と呼ばれるフランス・ヴァロア朝の第5代国王です。ジャンヌ・ダルクの活躍によってフランス軍はイングランド軍に連勝、ノートルダム大聖堂で正式にフランス王として戴冠式を挙行したのは史実通りです。

ブルゴーニュ公国の公女であるフィリップは「善良公」と呼ばれ、百年戦争においてイングランドの同盟者でありながら殆ど手を貸さず、やがてイングランドから離れてフランスと和睦、百年戦争がフランスに優位になる転換点を作りました。

ガスコーニュ出身の女傭兵隊長だったラ・イルはフランスの軍人で、百年戦争後期で活躍した人物であり、ジャンヌ・ダルクの戦友であったことでも知られているそうです。

モンモランシも歴史上実在した人物がモデルになっているんです。
ジル・ド・レ…本名はジル・ド・モンモランシ=ラヴァルです。
1429年のオルレアン包囲戦でジャンヌ・ダルクに協力し、戦争の終結に貢献して「救国の英雄」とも呼ばれたそうです。
ですが、ジャンヌが捕らえられたことで次第に生活が荒み、錬金術や黒魔術にも手を出していたとか…
そういえば、とみたん演じたカトリーヌ…モンモランシの祖父の策略でカトリーヌは誘拐され、近親婚に相当するモンモランシと強引に結ばせ既成事実を持たせた略奪婚を実現させられたそうです。

ジャンヌ・ダルクはフランスの国民的ヒロインで「オルレアンの乙女」とも呼ばれているのは周知の事実です。
神の啓示を受けたとしてフランス軍に従軍し、イングランドとの百年戦争で重要な戦いに参戦して勝利を収め、後のフランス王シャルル7世の戴冠に貢献しました。
ですがその後、ジャンヌは異端審問にかけられ19歳で火刑に処せられてその生涯を閉じました。

これらの史実を総合的に勘案すると、この作品の含みを持たせた終わり方に相応の意味が感じられます。
この物語は、こんなにも悲しい史実の上に成り立っていたんですね…

投稿 : 2025/03/29
♥ : 15
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